人気ブログランキング | 話題のタグを見る

大切な本

大切な本_a0104980_20261838.jpg天使の廻廊―les Anges des Confins 田原 桂一 (新潮社)

1993年に発行された本で、初版本には天使をイメージした香りを染み込ませた中表紙が付いています。
新聞の広告見出しで見つけ、本屋に注文して取り寄せた本でした。
このような物に信仰心を持っているわけでもないのですが、なぜか惹かれ手にしました。

複雑に入り組んだ宗教と民族と文化。クロアチア。
権威によって造られ完成された美からは遠く、救いと享楽の入り混じった感情が表現したキッチュな色彩とモチーフの農村の教会。
その信仰のもとにいる天使たちを撮影して歩いた本です。
この頃から始まったユーゴスラビアの内戦により、その後いくつかの教会は爆撃を受け無くなってしまったそうです。

イタリアやドイツ、フランスの優美なバロック様式の教会とは違う、人々の生活や体温やにおい、手の跡といった背景まで感じ取れるような本です。

今はもう、天使の香りは薄くなってしまいましたが、私の大切な本です。
by oko-chan | 2010-03-31 21:07 | Life | Trackback